零売の仕組みと処方箋なしで病院の薬を買える全国の零売薬局を紹介

零売薬局について薬剤師×薬学研究
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処方箋なしで病院用のお薬を買うことができる「零売」が話題になっています。
本来、お医者さんから出してもらう薬を、薬局で薬剤師から直接買えるなんて不思議ですよね。

零売と薬局を理解するカギはたったひとつ。
零売が、調剤ではなく販売であることです。

この記事では零売の仕組みを3つのポイントから説明します

この記事でわかること
・零売と零売薬局の仕組み
・日本各地にある零売薬局の場所
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零売の仕組みとは

零売の仕組みについてひとことで説明します。

零売とは、医薬品医療機器等法の第四十九条に基づき、医療用医薬品のうち「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」を医師、歯科医師の処方せんによらず販売することです。

理解するためには、3つのポイントを抑えることが大切です。

  1. 医薬品の分類について理解すること
  2. 医薬品の販売・授与の歴史について理解すること
  3. 医薬品や薬局に関わる法律について理解すること

ひとつずつ説明していきます。

医薬品の分類について

医薬品は3種類に分けられます。

  • 薬局医薬品
  • 要指導医薬品
  • 一般用医薬品(OTCともいう)

零売で注目するのは薬局医薬品です。
薬局医薬品はさらに2つに分けられます。

薬局医薬品=医療用医薬品+薬局製造販売医薬品

重要なのが約15000種類ある医療用医薬品です。
この医療用医薬品のうち約半分を処方箋医薬品といいます。

高血圧、糖尿病などに使う薬や抗生物質、睡眠薬、抗がん剤などが該当します。
処方箋医薬品には言葉のとおり、処方箋が必要です

処方箋医薬品には処方箋が必要!

そして、処方箋医薬品に該当しない医療用医薬品。
これを「その他の医療用医薬品」といいます。

医療用医薬品=処方箋医薬品+その他の医療用医薬品

「その他の医療用医薬品」は約7000種類。
風邪薬、痛み止め、胃腸薬、ビタミン剤、塗り薬、漢方薬、アレルギー薬などです。

該当する医薬品は、医薬品医療機器総合機構(通称:PMDA)のホームページで調べることができます。

重要ポイント
医薬品の分類に「その他の医療用医薬品」がある。該当する医薬品は約7,000種類。

医薬品の販売と授与の歴史について

分類のところで「処方箋医薬品」という言葉が出てきました。
実はこれができたのは2005年です。
それまでは要指示医薬品という分類がありました。

要指示医薬品には2つの問題がありました。

  • 注射剤や麻薬製剤等が要指示医薬品に指定されていなかった
  • 口頭の指示による不明瞭な販売があった

要指示という通り、医師の口頭指示だけで医薬品を販売、授与することができました。

口頭だけだと不正につながりますよね。

実際に何度も不正があったため分類が見直されたそうです。

見直しによって要指示医薬品は処方せん医薬品と呼び名を改めました。そして、処方せんの交付を受けた者に対してのみ、販売、授与されることになりました。

このときに現在の「その他の医療用医薬品」の原型ができたといいます。

重要ポイント
2005年に処方箋医薬品という分類ができた。
「その他の医療用医薬品」もできた。

医薬品や薬局に関わる法律について

医薬品の販売に関する法律に医薬品医療機器等法があります。(正式名称は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

この法律の第四十九条に処方箋医薬品の販売について次のような記載があります。

「薬局開設者または医薬品の販売業者は、医師、歯科医師または獣医師から処方せんの交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、または授与してはならない。」

ここでいう「厚生労働大臣の指定する医薬品」が先ほどの処方箋医薬品にあたります。

では「その他の医療用医薬品」はどうでしょう。
実はこれ法律で販売禁止されていません

重要ポイント
医薬品医療機器等法によって、処方箋医薬品の販売は基本的に禁止されているが、その他の医療用医薬品は厳密には販売が禁止されていない

3つのポイントのまとめ

いままでのポイントをおさらいします。

  • 医薬品の分類に「その他の医療用医薬品」がある。該当する医薬品は約7,000種類。
  • 2005年に処方箋医薬品という分類ができた。これにより「その他の医療用医薬品」が定まった。
  • 医薬品医療機器等法によって、処方箋医薬品の販売は基本的に禁止されている
重要なのが、零売は販売であって調剤ではないことです。
厳密には分割販売にあたります。
この視点に基づいて考えれば、病院の薬を直接買うことができる仕組みがわかります。
医薬品医療機器等法では、処方箋医薬品の販売は大規模災害時などを除いて禁止されていました。
しかし、「その他の医療用医薬品」については禁止されていません。
ここを突いて「その他の医療用医薬品」を処方箋なしで販売しているのが零売薬局なのです。
ただし、零売に関しては別途厚生労働省から通知が出ています。
気になる方は「薬局医薬品の取り扱いについて」という通知を調べてみてください。

零売薬局の場所について

わたしが確認した限り、2019年12月時点で、およそ6件の零売薬局が存在します。

  • 東京「オオギ薬局」
  • 東京「セルフケア薬局池袋店」
  • 東京「セルフケア薬局雷門店」
  • 新潟「薬局アットマーク」
  • 札幌「くすりやカホン」
  • 大阪「レディファーマシー」
  • 大阪「アリス薬局」

いずれの薬局もホームページがあるので、気になる方は調べてみてください。

まとめ

零売薬局とは、医薬品医療機器等法の第四十九条に基づき、医療用医薬品のうち「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」を医師、歯科医師の処方せんによらず販売する薬局のことです。

2019年12月時点で日本全国に約6件の零売薬局が存在します。
東京に集中していますが、ほかの地域にも零売を行っている薬局があります。

今後も零売薬局についてチェックしていきたいと思います。

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