アンケート調査とは、データを収集して情報に変換する方法です。解決したい問題や把握したい事項があるときに有効です。個人データを集団情報に変えることで、訴求力が得られます。
初心者のわたしが薬学研究をするにあたって実施したプロセスをまとめます。
アンケート調査のプロセス
- 調査企画
- 調査票の作成
- 標本抽出
- 調査
- 集計と解析
- 報告
調査企画(Planning)
まず、リサーチクエスチョンをしっかりとたてます。調査目的と把握内容を明確にすることが大切です。
課題を解決するために「どのような人々に、どのような地域で、どのような調査方法で、どのような質問内容で調査するか」を決めます。今後のプロセスで困ったときはここに立ち返ります。
調査目的
調査目的は主につぎの3パターンのいずれかに該当します。自分の行う調査がどのタイプかはっきりさせておくと、質問項目を決めるときに役立ちます。
- 問題発見型…かかりつけ薬剤師を決めたいのはどんなひとか
- 問題解決型…薬局の総合満足度をあげるための改善要素はなにか
- 因果関係の解明型…年齢、性別と薬局の利用状況の関係を解明したい
調査対象
どのような集団に対して情報を得たいのかを明確にして、対象者を決めます。定義が曖昧だと対象を抽出することができないため、できる限り具体的にする必要があります。
調査票の作成(Questionnaire)
調査票の作成は、調査企画で絞った質問項目を、一定のルールに従って並び替え、質問文を作る作業のことです。
質問文は正しく慎重に作成しなければいけません。用語の使い方や、言い回しがよくないと信頼できる結果が得られないからです。
・質問の順番を配慮する
・見やすく回答しやすいレイアウトを作る
・「○は1つ」「○はいくつでも」を表記する
・難しい言葉は使わない
・質問量は多くしない
・調査に無関係な質問をしない
・誘導的な質問をしない
用語が正確ではない
×かかりつけ薬局の制度 ⇒ 〇かかりつけ薬剤師制度
質問が誘導的である
厚生労働省の方針でかかりつけ薬剤師を持つことが推奨されていますが、あなたは今後決めたいと思いますか?
この質問はNGです。これだと「かかりつけ薬剤師を決めたい」のほうに誘導的ですよね
標本抽出(Sampling)
サンプル抽出ともいいます。集団全体を対象とする全数調査ができない場合、一部を対象として標本調査を行います。
標本抽出は、母集団についてすべてのデータの収集ができないときに、その一部を標本(サンプル)として抽出することです。
サンプルから母集団を正確にとらえるためには、サンプルが母集団を代表していなければいけません。したがって無作為抽出が必要です。
(例)健康フェアに来るひとは健康意識が高い傾向があるため自治体の代表として適切ではない
[用語の説明]
- サンプル抽出法…サンプルを選ぶ方法
- サンプルサイズ…標本調査における回答者数
- サンプル台帳…調査対象者を抽出するリスト
調査(Fieldwork)
データを収集する方法が調査です。個人面接法、郵送法、電話法、Web法があります。
やや例外的ですが、街頭調査、観察法、グループインタビュー(グルイン)などもあります。
集計と解析(Analysis)
集計および解析は、それぞれの調査票の回答をまとめていく作業です。データを情報に変換する手段と言えます。
集計には単純集計とクロス集計があります。解析の方法は膨大な種類があるのでここでは省略します。
(例)紙媒体で収集したデータをエクセルに入力して集計する。SPSSで解析する。
単純集計とクロス集計
集計は重要な情報を引き出すために行います。これにより集団における回答の件数や割合がわかります。
「△なひとがいる」というデータが「△なひとが〇という集団に□%いる」という価値の高い情報になります。
単純集計とクロス集計について説明します。
①薬局の患者層や評価について
②どのような患者がどのような評価をしているか
①は患者は若いひとが多いか高齢者が多いか、薬局の満足感はどうかです。
②は若い人には満足なひとが多いか不満なひとが多いか、高齢者はどうかです。
単純集計「薬局の患者層や評価」を明らかにするために、年齢では平均値を計算し、評価では満足や不満を回答したひとの人数を数えます。これが単純集計です。①を解決できます。
クロス集計「どのような患者層がどのような評価をしているか」という疑問を解決するためには、若いひと、高齢者のそれぞれについて、満足や不満を回答したひとの人数を数えます。これがクロス集計です。②を解決できます。
報告(Presentation)
集計解析の結果を要約して、報告します。
(例)学会発表する、卒業論文としてまとめる
まとめ
薬学部で研究を通してアンケート調査を数回行ったので、簡単に流れを示しました。
卒業研究だけではなく、薬学部の部活やサークルなどでも参考になるかもしれません。今後も内容をブラッシュアップしていきます。
Doing more with less!